認知症の方の時効援用に関するQ&A

文責:代表 弁護士 西尾 有司

最終更新日:2023年12月26日

Q認知症の母が昔借金をしていたようなのですが、子どもである私が時効援用することはできますか?

A

 母が認知症であるからといって、当然に母が行うべき手続きである時効援用を、子どもが行うことはできません。

 子どもが母の時効援用手続きを行うためには、法的な代理人となる必要があります。

 子どもが母親の法的な代理人、すなわち、成年後見人に選任されれば、子どもが認知症の母の債務につき、時効援用することができます。

Q認知症の母が債権者からの連絡に返事をしたようなのですが、もう時効援用できませんか?

A

 債権者からの連絡に対し、自身に負債をあることを認めるような返事をした場合、「承認」として、消滅時効の更新事由となり、基本的には、承認行為以降、改めて時効期間が経過しない限り時効援用はできなくなります。

 しかし、認知症の方が承認行為を行った場合には、別途考える必要があります。

 承認行為等は、法律行為に当たります。

 認知症を患っている方は、認知症の程度にもよりますが、意思能力がない人として扱われることがあります。

 意思能力のない人の法律行為は、「無効」又は「取り消す」ことができます。

 そこで、認知症の母が承認行為当時、意思能力を欠く状態にあったといえる程度の認知症であれば、承認行為を無効と主張し、時効援用することも可能です。

Qどこからの借金か分からない場合でも時効援用できますか?

A

 時効の援用は、各債権者に対し行うことが必要です。

 そのため、どこからの借金か分からない場合には、時効の援用を行うことはできません。

 どこから借り入れをしていたのか調査を行ってから、時効援用の手続きを行うこととなります。

Q子どもである私が認知症の母の時効援用を弁護士に相談することはできますか?

A

 母の時効援用の相談を弁護士に相談すること自体は可能です。

 ただし、相談のみとなります。

 弁護士との契約は委任契約となり、法律行為です。

 単に母が認知症であるといって、子どもが母の法律行為を代わりに行うことはできず、委任契約締結するためには、子どもが母の法定代理人であることが必要です。

 そのため、子どもが母の時効援用を弁護士に相談のみならず委任をするとなった場合、成年後見人であることが必要となります。

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